家族の習慣
子どもたちは、日常的に繰り返される行動や生活の流れ(日課)があることで、見通しを立てやすくなり、安心して次に起こることへ備えることができます。日課は、自閉症の子どもにとって特に大切なものです。
その日課の大切な一部となるのが、家族ならではの習慣や決まりごとです。新学期の始まりや旅行といった新しい出来事や環境の変化も、そうした決まった流れがあることで親しみやすくなり、不安を和らげてくれます。安心できる環境こそ、子どもたちは新しい挑戦ができるのです。
日課を整えるために、以下のような工夫をしてみましょう。
• 子どもが主体となる。新しい決まりを作るときは、できるだけお子さんに参加してもらいましょう。お子さんは歌が好きですか?お風呂の歌でシャンプーの緊張が和らぐかもしれません。また、選択肢を与えることも大切です。2曲からお気に入りの1曲を子守歌に選んでもらい、それを聴いたり(口ずさんだり)することで、寝る前の時間がスムーズになるかもしれません。
• 家族の一体感を育む習慣を作る。家族の合言葉や特別なハンドサイン、ハグの方法などを考えてみましょう。家族はいつもそばにいて、支え合う存在であることを子どもに伝えることができます。
• 子どもの世界を広げるために日課を活用する。例えば、いつも歌っている歌の歌詞を変えて、新しい環境を紹介するというように。「森のくまさん」を「学校のお友だち」にアレンジして、学校で新しく出会う人や活動を歌に取り入れると、お子さんは楽しく新しい学校生活に親しむことができるでしょう。
• 季節の行事やお祝いにあわせた習慣は、家族の楽しみを増し、思い出になる。例えば、クリスマスに毎年つくる特別な料理をお子さんと一緒に決めたり、バレンタインデー用の特別なテーブルマットをデザインしたりと、家族ならではの新しいお祝いの習慣を考えてみましょう。写真に残しておけば、翌年以降もその行事について話せるようになります。ただし、一度はじめると止めにくくなるものです。無理なく続けられる習慣にしましょう。
• 誕生日は特別に。主役用のマントや冠、特別なお祝いのキラキラなコップなど小物を用意し、その日1日を楽しく過ごすための特別な方法を考えましょう。アルバムをつくり、写真で毎年の思い出を残すのもおすすめです。
• 必要に応じて、お子さんと関わる先生や大人とも日課を共有する。みんなが同じ理解を持つことができます。
自閉症のお子さんにとって、見通しを立てられる決まりごとは大きな安心につながります。ただし、大切なのは「無理なく続けられること」です。